iPad Pro M4を購入して1ヶ月くらい経ってそんな中自分が楽しめることって何だろうって思いながら過ごしておりました。
iPadに何をさせるべきだろうか、と色々考えた結果、Logic Pro for iPadに再サブスクする事にしました。
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もくじ
制限解放への模索の旅
これまでiPadがこの世に誕生してからiPad→iPad mini→iPad 3→iPad mini2→iPad Pro10.5→iPad Pro 11 → iPad Pro12.9 → iPad Pro 11 M4とたくさん買ってきたのですが、それぞれの時代でそれぞれのクリエイティブな方法を試してきて何にも根付かなかった歴史を持ちます。
仕事でWebエンジニアみたいなことをやっていますので、HTML+CSS+JavaScriptの方が自己表現できるし、インフラみたいなこともやり始めてDockerやシェルなんかが動いてくれた方がより自分のやりたいというを実現できるので、iPadにもそのようなWebエンジニアリングができるような機能ができればなぁと期待してiPadのクリエイティブに期待して書い続けた所が大半を占めていたと今は考えます。
しかしながら、Webエンジニア向けクリエイティブはiPadには閉ざされたままはや10年が経ちました。
Panicが開発したCodaが出た時は「Webエンジニアリングに光明が!』と注目を浴びたものの尻すぼみな結果となり、Virtualization Frameworkが登場した時には「iPadでもLinuxがOSレベルの速度で使えるようになるかも」と話題になりつつも結局Macにしか開かれることはありませんでした。
そもそもシェルが解放されない事には現代のWebフロントエンドツールの旨みを享受することもできませんし、フルOSが動かないと使用されているライブラリのコンパイルも通らないのでなんちゃってシェルではどうにもならないのが現状です。
そんな中、今回のM4 iPadの発表会ではMagic Keyboardが全面に押し出されるという前持った報道もあった事でとうとうそっちも方面にも!?と勝手に妄想したのですが何にもOPENとはならなかったので、実際は結構落胆しました。
Macはあれほど開かれているのに、なぜiPadはどこまでもMacに似ていっているのにこんなに制限が多い事に最近では「つまらなさ」すら感じるほどに。
そんな制限の多いiPadでWebエンジニアリングのクリエイティブを手にいれるには、iPad内で完結することは難しく、GitHubのCodespacesを使ったWeb上に展開されたVSCodeや自サーバに開発環境を展開してSSHで接続することなどが必要となります。
パワーがありあまるiPadがもったいないですよね。iPadで手軽に開発を始めるWebエンジニアリングではなく公式が用意するSwift Playground、奇跡的に風穴を空けたPythonista3やPytoなどのPythonのIDEツールなどが挙げられます。私もPythonista3のおかげでPythonも書けるようになりました。
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iPadで利用できるクリエイティブツール
クリエイティブの定義は色々とありますが、AppleがiPadに考えるクリエイティブは「ペン」を用いたお絵描きがおそらく一番強いと思います。お絵描きツールであるProcreateやクリスタなんかはiPadの携帯性とペンによる描画との相性は抜群です。
画像編集も直感的に行えると考えます。Affinity PhotoやDesignerは買切りツールとしてサブスクの風潮と真逆を行くアプリケーションです。
Affinity PhotoについてはAdobe Photoshopのような画像編集、Designerについてはベクター編集のできるIllustratorの代替ツールとして、Publisherは組版のできるAdobe InDesignの代替としてのツールとして利用することができます。
画像現像はPhotomatorなどAdobe Lightroomの代替買い切りソフトとして頑張っている印象です。
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動画編集についても新勢力が台頭している
映像関係も最近は力を入れているように思えますがそこまで流行っていない気がします。TiktokやYouTube Shortは縦動画ですが縦動画用の編集アプリがiPhoneやAndroidでこぞって進出してきているのでiPadで縦動画を編集する機会はあまりないように思えます。
iPadで動画を編集するには老舗のLumaFusionやつい先日大型アップデートが発表されたFinal Cut for iPadなどが挙げられます。
Final Cut For iPadは要求スペックM1以上のiPadとの事でここ3世代のiPad Proと2世代のAirと限定されます。それは機械学習での処理に依る事と考えれられます。しかしながらこれまで培われた動画編集の技術や痒いところに届かない編集ワークフローなどがありこれもMacの方が強いと言わざるを得ないでしょう。
新興勢力であるProcreateが昨年発表したProcreate Dreamはアニメーション作成ツールで、Adobe After EffectsやAnimateに変わるツールとして一石を投じています。
動画編集や動画作成のデファクトスタンダートはAdobeとなるでしょう。そのAdobeが有するPremirer ProやAffter Effectsについてはプロ標準という事でこれを根幹から揺るがす事はこの先まだまだ考えられない現状でありますが、このようにiPadのような直感的なツールが代替わりするようなことがあればまたそれは面白いことだと思います。
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音楽は長年発展途上だが…
さて、クリエイティブの長の音楽というとどうなのかというのは残念ながら発展途上と言わざるを得ないでしょう。なんならMacの方がいいという現状があります。
音楽ツールは昔からSteinberg CubasisやKORG Gadget、FL Studioなど大手音楽制作ツールを手掛ける企業がこぞって参入し、一定数のファンを獲得するもどちらも「スケッチツール」としての着地点となってしまっているのが現状です。
スケッチツールは、iPadで思いつくことを手軽にタッチ操作やペン操作を使ってデモを作成し最終的にMacやWindowsの本格的なDAWで開いて作業してね、といったことを目的としたソフトウェアツールになります。
なぜそのようなことになるのか。それは音楽をやるためには楽器とやりとりするオーディオインターフェースが必要であることや、プロ御用達の音を鳴らすためのソフトウェア音源がどうしてもWin/Macまでしか対応していないのが原因とも考えられます。
CubasisはMac/Winで利用できるDAWであるCubaseで読み込みできますし、GadgetはAbleton Live、FL StudioもWin/Mac版のFL STUDIOで読み込んでそのあと作り込むことを前提に作成されています。
iPad内で作曲を完結するには、まず生音を綺麗に録音するためのオーディオインタフェースの対応がそもそも遅れているし、プロの現場で利用されているソフトウェア音源やミックス・マスタリングするためのFXの対応が圧倒的に足りていないので、どうしてもパソコンの方でできることが圧倒的に多い。
ソフトウェア音源やオーディオにかけるFXなんかはSteinbergが提唱したVST、MacOSでの利用を前提としたAudio Units、ProToolsでの利用のためのAAX形式など多岐に渡るのですが、iPadはAUv3という形式に対応する必要があり、それをiPad用ソフトとしてリリースしなければ利用できないため、開発会社がAUv3に対応していないというのが現状です。
AUv3という形式は2015年に登場したが流行っていない理由はその他にもあり、MacOSがIntelからApple Siliconへ移行した時にRosetta2といういわゆる下駄のような仕組みで簡単にアーキテクチャを超えた移行を提唱したおかげで開発者はスムーズに移行できたのだが、AUv3は茨の道が敷かれているのである。
というのも、AUv3はMacOSとiOSとで両方で動く形式として提唱されており、MacとiOSとで同様の動作をしなければならないという決まりがあり、UIなどもAppleが提唱するフォーマット通りに作成しなければならない。それは大きな問題ではないが、それ以上に厄介なのがAUv2ではMacOSで動作するために作れば良かったのでCPUやメモリなどの直接アクセスによりリアルタイム性の求められる処理を開発者の技量で実現することができたが、AUv3ではサンドボックス環境が用意され、セキュリティの観点からCPUやメモリのアクセスは大幅な制限が存在し使用できる関数に限りがあるためAUv2やVSTなどでは実現できていた処理がAUv3では実現できないようなことが出てきていることや、実現できてもこれまでのコードベースよりズレてしまうためAUv3のための処理を新たに模索しなければならない状態にあるそうです。
AUv3に対応するかどうかはそれぞれのソフトウェアメーカーに委ねられてはいますが、私の好きなPSP AudioやXLN Audio、Brainworkxなどは参入しておらず、Mac/WinのVST3やAUv2までの対応に留まっていてとても残念でなりません。
しかしながらPC/Winのプラグイン創世記から活躍し続けるIK MultimediaはiPadリリース直後にAmplitubeのiPad版をリリースし人気を博し、iPadやiOS用のオーディオインターフェースの販売などでiOSの音楽制作に大きな影響を与えた老舗企業ですが、近頃盛り上がりを見せるAIモデリングアンプのクライアントとしてTONEXのiOS版をリリースしAUv3での利用ができるようになった事や、オーディオプラグインとしては後発ながら現在デファクトスタンダードになりつつあるPro-Qシリーズを手掛けるFabFilterなどはAUv3に対応したアプリをリリースしてくれているのでとてもこれから面白くなっていくんでは無いかと期待しています。
iPadでの音楽のクリエイティブ性は、Logic Pro for iPadをリリース1年で、少しずつ開かれつつあります。
iPadで利用できるオーディオインターフェースも数多く発売されており、SteignbergのIXO12やU22CはiPadに接続するだけで利用できますし、ギターやベースに特化しているのならばPositivegridのSparkシリーズなども直接iPadに接続すれば音作りしたアンプの音をそのまま録音できたりとできることは増えてきました。
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この5月にLogic Pro for iPadがバージョン2をリリースし、すでにミックスされた音楽データを一瞬で解析しギタートラック・ドラムトラック・ベーストラック・ボーカルトラックに分離する機能なんかは、憧れのバンドに自分の練習しているパートで参加できるといったとても面白い機能がリリースされ、一人でもバンド感覚を味わえるとても面白い機能となっています。私もトゲナシトゲアリの桃香になったりルパになったりと毎晩楽しみがひとつ増えました。
一度リリースされてすぐの頃に自尊心だけでサブスクしていたのですが半年くらいで一度サブスクを解除した私ですが、音楽を作る以外にも利用価値のあると感じまたサブスクしました。
この先、Logic for iPadを起点としたAUv3の盛り上がり次第でiPadだけで音楽制作を完結させるまでいけるほど盛り上がってくれたらと願っています。
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これからのiPadは制限の開放が鍵
さて、クリエイティブとは?という観点からiPadに取り巻く問題を論じてまいりましたが、iPadはM4まで載っていながらMacと違って制限を設ける事でターゲットを絞りクリエイティブという甘い言葉を使いサンドボックスへと押しやられているのが現在のポジションです。
WWDCでの発表もAIが前面に押し出されていましたが、全てセキュリティを守った上でできる事を模索した上での発表だったようにも思えます。
iPadも例に違わずサンドボックス上で何ができるかを開発者は模索し、ユーザーはその上で何ができるかしか選択できません。それはセキュリティを守る上でこれまでのMacで実現できなかった全面障壁がiPadでは実現できているという現れとも考えられます。
しかしながら、現に有り余るパワーを持ちながら制限を受け続けるiPadを買い替えるかどうかの議論は世界の各地で起きており、買い控えるユーザーがかなり多いのも事実です。
新しいことは要らない。ユーザーはこれまで開放されていた事を制限なくできるようにしてほしいだけだと思っています。Appleだけにクリエイティブの手綱を持たせておくのはとてももったいない気がすると私は思います。
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